Shinryo Healthcare

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開発ストーリーDEVELOPMENT STORY

新菱(シンリョウ)は、もともとリサイクル事業の会社です。
私たちのグループでは捨てられている魚の鱗や内臓といった未食部位から、コラーゲンやエラスチン、ゼラチンなどの機能性成分を抽出し、食品や化粧品原料を精製するといった技術開発を行っていました。
魚の皮や鱗にはゼラチン成分が多く含まれています。その抽出過程において、抽出液の粘度が高いために気泡がたまるという課題に直面していました。

ある日の仕事終わり、当時の同僚と居酒屋でビールを飲んでいたときの話です。

同僚曰く「水素水はものすごく身体に良い。ただ、水素は最高でも1.6ppmしか水に溶けない上に、水素分子はものすごく小さいから、すぐに抜けてしまうのが厄介で…」とのこと。
※ppmは100万分の1

当時はゼラチン抽出時に、抽出液から気泡を除くにはどうしたら良いかという悩みで頭がいっぱいでした。
ビールの泡を見ながら、この泡が消えたら…とふと思い立ち、「泡が消えないなら、いっそのことゼラチン抽出液の中に水素ガスを入れてみたらどうだろう」と提案すると、同僚からは「水素はすぐに抜けてしまう。それに泡を保持できるわけがない」とそっけない返答。
私も笑いながら頷くだけでした。

その翌日から興味本位で水素水を1か月間飲み続けてみると…驚くほど体調が上向いたため、水素に関連する論文を読み漁りました。
※当人の意識によるものです

それまで水素に関する論文がこれほど存在することも、信頼できるエビデンスがあることも知りませんでした。
世の中の一部で悪評が立っているけれど、百聞は一見に如かず。水素製品の開発を決心した瞬間です。

いざ検討を開始すると苦難の連続。
水素を均一に分散させ閉じ込める技術、その保存安定性、安全に製造する技術、それらをすべて解決しなければ商品化は叶いません。
水素自体の分析すら難航しましたが、幸い水素自体の製造時の取り扱いは三菱ケミカルグループの知見があり、試行錯誤の結果、均一に水素を含ませる製品を安全に製造する技術の開発に成功しました。

なんとか「高濃度の水素を含有させたゼリー」の実験室レベルでの完成に漕ぎ着けましたが、実際に製造する工場を国内外に見つけることができませんでした。
食品受託メーカーに何社も問い合わせをしましたが、「水素を取り扱う製品を作ったことがない」と断られ続ける日々。
心が折れそうになりながらも、だったら自分たちでゼロから工場を作ろう!ということで、福岡県北九州市に専用の工場を立ち上げました。
世界的食品安全基準のISO14000を取得し、厳格な品質管理を実施している工場として現在稼働中です。

世界初の「高濃度水素ゼリー」はこのようにして誕生し、「日本分子状水素医学生物学会」で発表した際には、多くの反響をいただきました。
現在まで東京大学、防衛医科大学、九州大学、東京農工大、岡山大学など、様々な研究機関と共同研究を実施しています。
機能性表示食品として申請も行っており、もし受理されることになれば史上初の機能性水素製品となります。

数年前に水素水がブームになりましたが、ほとんど水素が入っていない粗悪品が出回っていたこともあり、残念ながら水素に対する印象は失墜しました。
一度ついたイメージを払拭するのは難しいですが、私たちは水素と真摯に向き合い、真面目に製造し、含有量も含めた品質はもちろんのこと大学との共同研究によるエビデンスを積み重ねて、水素分子は素晴らしい可能性を秘めているという事実を世の中に伝えていきたいと思っています。

多くの関係者の方々による助けを借り、紆余曲折を経て製品化された「高濃度水素ゼリー」は、私たちの子供のような存在です。
多くの皆様のもとにお届けできることを夢見て、心をこめてひとつひとつを福岡県北九州市の工場で作っています。



武田 徹 Tooru Takeda
株式会社新菱 ヘルスケア事業推進室 室長

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